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最近、男性の育児休業の話題が、よくニュースでとりあげられるようになりました。しかし、ほとんどの方は、「自分には縁のない話だなぁ」と思っているのでは?
そこで今日は、遅ればせながら、5月31日に開催されたNPO法人「ファザーリング・ジャパン」主催の「第2回ファザーリング・ジャパンセミナー」の様子をご紹介します。テーマは「 育休パパに学ぶ、ファザーリングの極意」。テーマがテーマだけに、第1回目のセミナーより、男性比率がぐっと高い気がします。
最初の挨拶に続き、まずは、法政大学キャリアデザイン学部教授の武石恵美子氏による基調講演。
まず、女性の育児休業について、法律的には制度が定着したかに見える現在でも、出産前に仕事を辞める女性が多く、育児休業を取得する女性の数は依然として少ないという実態が報告されました。また、女性の場合、育児休業をとってまで仕事を続けたいというモチベーションが低い傾向にあり「本当に自分が面白い仕事をすることで、キャリアの展望が開けるのでは」という興味深いコメントも。
父親の育児休業については、ことさらに育児休業だけを支援することは育児の聖域化につながるため、
「生活ニーズとバランスできる働き方が人的資源管理の基本である」という考えのもと、子育て支援もその延長にあるべきだというお話が印象的でした。
「父親の育児休業」というと、どうしても取得すること自体が目的になりがちですが、この考えには、私も納得!育児にはまだ関係のない若い世代、育児は終えたが介護が必要な世代など、「多様な立場の人に対しても納得性のある働き方の整備」こそが必要だと感じました。


次のトークセッションでは、実際に育児休業を取得した先進的なパパたちや企業の人事部の方が出演。ユニークな体験談を披露してくださいました。
私が一番印象に残ったのは、「育児休業を取得したら仕事の評価にひびかないか?」という質問に対して、「こころよく思わない人もいると思うが、気にしていたらきりがない。育児休業をとらなくても、他のことでいくらでも評価が悪くなる可能性はある」という育休パパの電通・高村氏の回答。なるほど、と納得させられる鮮やかな回答でした。「育児休業を取得したら」を「残業をしなかったら」に置き換えても、しっくりきそうです。
みなさんのお話を伺った感想としては、男性が育児休業をとるためには、やはり共働きであることが必要条件なのだな、ということ。世帯の稼ぎ手が誰もいなくなってしまうことは、短期間といえども、リスクのあることなのでしょう。また、代替の要員が確保できる大企業はともかく、中小企業では現実には育児休業の取得は厳しいであろうということです。
最後に、「今日の話は社会的にある程度活躍している年代の方の体験談だったので、まだ社会人になって数年で小さな会社に勤める自分にとっては参考になりませんでした」という20代の男性の率直なコメントが印象的でした。
仕事量や残業の有無を自分でコントロールしづらい立場の若い人が育児休業をとれるようになって初めて、「男の育児休業」が大きな意味を持ってくるのでは、と思いました。
個人的には、近い将来、「育児休業の必要のない働き方(リモートオフィス)」の実現ができればよいな、と強く思わされました。(取材/常山あかね)